2026年8月30日、新潟競馬場で第62回新潟記念(GⅢ)が行われる。舞台は芝2000メートルの左回り・外回り。夏の新潟開催を締めくくる伝統の重賞であり、秋の中長距離戦線を見据える馬たちにとっても見逃せない一戦だ。
今年は登録11頭と頭数こそコンパクトだが、GⅠ馬が5頭。競馬の世界では「少数精鋭」という言葉を気軽に使いがちだが、今回は本当に精鋭がそろった。出走表を眺めるだけで、おなかいっぱいになる豪華さである。
中心となるのはNHKマイルCを制した3歳馬ロデオドライブ。そこへゾロアストロ、ステレンボッシュ、チェルヴィニア、ドゥレッツァ、ダノンシーマ、アーバンシックらが加わる。長い直線で最後に笑うのは実績馬か、成長力に富む3歳勢か。人気、脚質、血統、年齢、枠順、追い切りまで、予想の論点がぎゅっと詰まった新潟記念を整理していこう。
まず押さえたい新潟記念2026の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年8月30日(日) |
| 競馬場 | 新潟競馬場 |
| 競走 | 第62回新潟記念(GⅢ) |
| 条件 | 3歳以上・別定 |
| コース | 芝2000メートル・左回り外回り |
| 登録頭数 | 11頭 |
| 発走予定 | 新潟8R・15時45分 |
今年は暑熱対策による競走時間帯の拡大に伴い、メイン競走が新潟8Rに組まれている。新潟記念だから11Rだろう、と体が勝手に判断すると危ない。長年の競馬ファンほど指が11Rへ向かうかもしれないが、今年は8R。習慣とは、ときに人気薄より手ごわい。
新潟記念は1965年に創設され、新潟競馬場で行われる重賞のなかで最も長い歴史を持つ。1984年のグレード制導入でGⅢとなり、2006年からサマー2000シリーズに組み込まれた。2025年には負担重量がハンデキャップからグレード別定へ変更され、2026年は別定戦として2年目を迎える。
この変更は、単に斤量の決め方が変わったという話ではない。左回りの長い直線を持つ芝2000メートルという条件に魅力を感じ、実績馬が秋への始動戦として選びやすくなった。涼しい札幌か、ワンターンの新潟か。陣営に選択肢が増えた結果、今年はGⅠ馬5頭が集まったというわけだ。
新潟芝2000メートル外回りは末脚のロングステージ

新潟記念の舞台は、芝2000メートルの外回りコース。スタートから最初のコーナーまで十分な距離があり、序盤は隊列を整えやすい。道中には緩やかな起伏があり、3コーナー付近から下りを利用して徐々に速度が上がる。そして最後に待っているのが、新潟名物の長い直線だ。
長い直線と聞くと「後ろで待って、最後にビューン」で済みそうだが、競馬はそんなに親切な設計ではない。道中で余計な力を使えば直線半ばで脚色が鈍り、後方すぎれば速い上がりを使っても届かない。折り合い、位置取り、進路選択、加速力、トップスピードの持続力がまとめて問われる。
過去10年では差し馬が5勝、追込馬が3勝。逃げ馬は勝利がなく、複勝率も10%にとどまる。一方、追込馬は連対率19%、複勝率31%を記録している。直線を迎えるまで脚を残し、そこから長く伸びる馬に向きやすい傾向は明白だ。
| 脚質 | 1着 | 2着 | 3着 |
|---|---|---|---|
| 逃げ | 0 | 1 | 0 |
| 先行 | 2 | 2 | 2 |
| 差し | 5 | 2 | 3 |
| 追込 | 3 | 5 | 5 |
さらに重要なのが上がり3ハロンの順位である。上がり最速を記録した馬は過去10年で5勝、2着2回、3着2回。複勝率は75%に達する。12頭中9頭が3着以内という数字だから、予想の軸は「直線で誰が最も速い脚を使えるか」。ずいぶん正攻法だが、王道は道が広いから王道なのである。
ただし、上がり最速馬はレース後にしか確定しない。予想段階では、近走で速い上がりを使った実績、左回りや長い直線での内容、道中で折り合えるか、直線で進路を確保できるかを組み合わせて考えたい。
登場頻度トップのロデオドライブ、初の2000メートルへ
今年の話題の中心は、やはりロデオドライブだ。ここまで4戦3勝、2着1回。唯一の敗戦となったニュージーランドTもクビ差の2着で、デビューから一度も連対を外していない。
前走のNHKマイルCでは、それまでとは異なる後方寄りの位置から競馬を進め、直線で鋭く伸びてGⅠ制覇。初めての東京、外枠、これまでと違う脚質という課題を一度に処理した。初めて入った定食屋で、メニューを見ずに当たりを引いたような適応力である。
全4戦でメンバー最速の上がりを記録しており、長い直線への対応力は大きな魅力。左回り、高速馬場、差す競馬に結果があり、新潟外回りで求められる要素と重なる。
最大の焦点は、4戦すべて芝1600メートルだった馬が初めて2000メートルへ延長することだ。母は芝短距離で勝利しているが、母の半兄には天皇賞(秋)とマイルCSを勝ったカンパニーがおり、一族には中距離実績もある。NHKマイルCで脚をためる競馬に対応した内容からも、距離延長をこなす余地はある。
3歳馬が古馬と初対戦し、初距離にも挑む。それでもGⅠ馬として有力視されるのは、実績だけでなく、まだ能力の底を見せていないからだ。鞍上はC.ルメール騎手。新潟記念では4回騎乗して2着1回という成績を残している。
1週前追い切りでは調教師が手綱を取り、3頭併せで調整。馬なりながら最後まできびきびと動き、春からの馬体の成長もうかがわせた。最終追い切りで負荷をかけた際の反応が、仕上がりを判断するポイントになる。
ゾロアストロは新潟実績、切れ味、55キロがそろう
ロデオドライブと同じ3歳勢で、データとの重なりが目立つのがゾロアストロだ。2歳時の東京スポーツ杯2歳Sでは上がり3ハロン32秒7を記録して2着。きさらぎ賞では超スローペースからの決め手比べを制し、重賞初勝利を挙げた。
前走の皐月賞は18頭立ての14番枠。位置を取り切れず、前も止まらない流れのなかで4コーナー15番手から12着に終わった。続く日本ダービーを目指したものの、軽度の鼻出血によって回避。今回は皐月賞から4か月半ぶりとなる。
休み明けは課題だが、春に無理をさせなかったことは立て直しという面でプラスに働く可能性がある。昨夏には新潟芝1800メートルで初勝利を挙げており、軽い走りと鋭い加速を生かせる舞台は合いそうだ。左回りでは複勝圏を外しておらず、大回りのコースも歓迎材料になる。
斤量は55キロ。3歳馬の好走傾向と合わせれば、古馬の実績馬へ挑む条件は整っている。父モーリスも新潟芝2000メートルで好成績を残しており、24戦5勝、勝率20.8%、単勝回収率320。馬券圏内7回のうち6回が2着以内という点も興味深い。
1週前追い切りではステレンボッシュを後ろから追走し、直線で並びかけて半馬身先着。ラスト1ハロン11秒0まで加速した。春の悔しさを晴らす準備としては、景気のよい数字だ。
ステレンボッシュ、外回り2000メートルで復活を期す
ステレンボッシュは2024年の桜花賞馬。阪神JFとオークスで2着、秋華賞と香港ヴァーズで3着に入り、牝馬三冠では1、2、3着を記録した。数字がきれいに並びすぎて、通知表なら先生も丸をつけやすい。
転厩後の3戦は7着、2着、10着。3走前は直線で不利があり、前走の安田記念は強力な相手と高速決着に直面した。一方、2走前のエプソムCでは勝ち馬と同タイムの2着。長い直線の左回りで、復調を感じさせる末脚を見せた。
父エピファネイア、母の父ルーラーシップという血統構成やエプソムCの内容を考えると、現在はマイルより中距離で持ち味を出しやすい可能性がある。新潟外回り2000メートルは、道中で脚をためて直線の伸びを生かせる舞台。完全復活を狙うには、願ってもない条件といえる。
鞍上は戸崎圭太騎手。新潟記念では過去10回の騎乗で2着1回。父エピファネイア産駒にも、この重賞で3着の実績がある。勝ち切る数字ではないものの、相手候補として支える材料にはなる。
1週前追い切りではゾロアストロに半馬身遅れたが、終いは11秒0。遅れだけで評価を落とすのは早く、全体のラップは滑らかだった。最終追い切りでの反応と当日の気配を見極めたい。
チェルヴィニアは得意の中距離で巻き返せるか
チェルヴィニアは2024年のオークスと秋華賞を制した二冠牝馬。オークスでは大外から長く脚を伸ばし、秋華賞では脚をためて直線で抜け出した。中距離で見せた切れ味と持続力は、新潟記念でも重要な武器になる。
古馬になってからは勝ち切れていないが、中山記念では後方の内で脚をため、直線で進路を確保してゴール前に加速。前走のヴィクトリアマイルでは先行して速い流れに巻き込まれ、16着に敗れた。マイル戦より、実績豊富な2000メートルへ戻ることは歓迎だろう。
父ハービンジャー産駒は、過去10年の新潟芝2000メートルで最多の9勝。勝率11.4%、単勝回収率152を記録しており、勝利数と馬券妙味の双方で存在感を示す。新潟記念に限っても父産駒は6頭が出走して1勝している。
さらに半兄ノッキングポイントは新潟記念の勝ち馬。血統と舞台の接点は明確で、左回りでも複数の勝利がある。近走成績だけを見て評価を下げるより、中距離への距離延長と外回りへの適性を見直したい一頭だ。
1週前追い切りでは直線で前がやや窮屈になり、動きが小さく映る場面があった。久々の影響も考えられるため、最終追い切りで活気や反応が上向くかが鍵になる。
ドゥレッツァは長期休養明けでも地力を侮れない
ドゥレッツァは2023年の菊花賞馬。2024年のジャパンCで2着、2025年のドバイシーマCで3着と、国内外の強豪を相手に実績を積んできた。昨秋は京都大賞典8着後、ジャパンCを蹄球部の炎症で取り消し、長期休養に入った。
今回は久々の実戦となるが、過去には休み明けのドバイシーマCで3着に好走している。59キロを背負った金鯱賞でも2着があり、斤量への対応力と時計勝負への適性は示している。
父ドゥラメンテ産駒は、新潟記念で1頭が出走して2着。サンプルは小さいが、血統面でまったく手掛かりがないわけではない。左回りでの安定感も高く、能力を発揮できる状態なら軽視は禁物だ。
1週前追い切りでは併せ馬を後方から追い、直線で加速して楽な手応えのまま併入。久々らしい余裕は残していたものの、しっかり動けていた点は好材料である。残る一週でどこまで仕上がるか。実績馬の休み明けは、期待と慎重さを同じ皿に盛るのがちょうどいい。
安定感ではダノンシーマ、実績ではアーバンシック
ダノンシーマ
ダノンシーマは10戦して5勝、2着1回、3着4回。これまで一度も馬券圏内を外していない安定感が最大の魅力だ。前走の目黒記念ではトップハンデを背負いながら3着。芝2000メートル前後でも堅実に結果を残しており、古馬勢の中心候補に挙げられる。
一方、父キタサンブラック産駒は過去10年の新潟芝2000メートルで8戦して馬券圏内がない。サンプル数は多くなく、ダノンシーマ自身の能力を否定する数字ではないが、上位人気が予想されるだけに気になる材料ではある。血統データと個体の安定感、どちらを重く見るか。予想する側の腕が試される。
アーバンシック
アーバンシックは2024年の菊花賞馬で、セントライト記念も勝利。京成杯2着、日経賞3着の実績がある。近走は本来の力を出し切れていないものの、長い直線で末脚を生かせる形なら巻き返す余地がある。
後方から進める競馬が多く、新潟外回りの傾向とは合う。ただし、後ろにいれば自動的に直線が開くわけではない。少頭数でも仕掛ける位置と進路取りが重要になる。GⅠ馬としての地力を、秋へ向けた始動戦でどこまで示せるか注目したい。
サヴォーナ、ジョバンニら伏兵にも出番あり
サヴォーナ
サヴォーナは池添謙一騎手が騎乗予定。池添騎手は2018年にブラストワンピースで新潟記念を勝っている。父キズナ産駒にも過去10年で3着の実績があり、騎手と血統の両面に好走例がある点は分かりやすい強調材料だ。
ジョバンニ
ジョバンニは芝2000メートル重賞で安定した内容を見せている。前走の小倉記念で2着、春の金鯱賞でも2着に入り、香港のクイーンエリザベス2世Cにも挑戦した。極端な瞬発力だけに頼るタイプというより、芝2000メートル前後で長く脚を使う形が持ち味。新潟外回りで脚をためられれば、直線の持続力勝負に対応できそうだ。
ジュンブロッサム、オニャンコポン、ボーンディスウェイ、バレエマスター
ジュンブロッサムは登録馬のなかで左回り適性を考える際に押さえておきたい存在。オニャンコポンは前走七夕賞組に該当し、この組は過去10年で1勝、2着2回、3着1回を記録している。ボーンディスウェイとバレエマスターを含む7歳勢は、過去10年で勝利こそないものの2、3着例はある。年齢だけで機械的に消すより、近走内容や展開との相性を見たい。
人気データは「2番人気が強い、でも一筋縄ではない」
過去10年で最も目を引くのは2番人気だ。【5-0-1-4】で5勝、勝率50%、複勝率60%。1番人気は【1-3-1-5】で勝率10%、複勝率50%だから、勝ち馬を探すなら2番人気が一歩リードしている。
| 人気 | 成績 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 1番人気 | 1-3-1-5 | 10.0% | 50.0% |
| 2番人気 | 5-0-1-4 | 50.0% | 60.0% |
| 3番人気 | 0-3-1-6 | 0% | 40.0% |
| 4番人気 | 0-0-0-10 | 0% | 0% |
| 6~9番人気 | 2-4-3-31 | 5.0% | 22.5% |
| 10番人気以下 | 2-0-3-65 | 2.9% | 7.1% |
興味深いのは4番人気が10頭すべて馬券圏外であること。一方、6番人気以下からも勝ち馬が4頭出ており、上位人気だけ並べれば完成というレースではない。過去10年の三連単はすべて万馬券で、そのうち5回は10万円を超えた。
ただし、2024年まではハンデ戦で、2025年から別定戦に変わっている。別定戦初年度の2025年は2番人気、1番人気、7番人気で決着した。実績馬を評価しやすくなった一方、伏兵が3着に入る余地も残されている。軸は上位人気から選び、相手に中穴を加える形がデータには合いやすい。
3歳馬は複勝率50%、今年は二枚看板

年齢別では3歳馬が【2-1-1-4】で勝率25%、連対率37%、複勝率50%。出走数は少ないものの、率では古馬を上回る。特に1~3番人気に支持された3歳馬は好成績を残している。
| 年齢 | 成績 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 3歳 | 2-1-1-4 | 25.0% | 50.0% |
| 4歳 | 3-3-3-26 | 8.6% | 25.7% |
| 5歳 | 3-3-3-45 | 5.6% | 16.7% |
| 6歳 | 2-1-0-24 | 7.4% | 11.1% |
| 7歳 | 0-1-3-23 | 0% | 14.8% |
| 8歳 | 0-1-0-7 | 0% | 12.5% |
今年の3歳馬はロデオドライブとゾロアストロ。前者はGⅠ制覇から初の2000メートルへ、後者は皐月賞からの巻き返しを狙う。ロデオドライブは完成度と適応力、ゾロアストロは新潟実績と55キロが魅力で、同じ3歳でも狙いどころは異なる。
4歳から6歳までは勝利数に大差がなく、古馬勢に明確な年齢の偏りは見られない。別定戦への変更によって実績馬が集まりやすくなったことを考えると、年齢だけでなく近走のレベルと今回の斤量を組み合わせたい。
枠順は8枠優勢、ただし11頭立てなら見方を調整
過去10年では8枠が3勝、2着3回、3着2回で最多。3枠と4枠が各2勝で続く。一方、2枠は16頭が出走して3着以内が一度もない。5枠と7枠からも勝ち馬は出ていない。
| 枠 | 成績 |
|---|---|
| 1枠 | 2-0-0-15 |
| 2枠 | 0-0-0-16 |
| 3枠 | 2-2-1-12 |
| 4枠 | 2-1-2-14 |
| 5枠 | 0-0-2-18 |
| 6枠 | 1-3-1-15 |
| 7枠 | 0-1-2-21 |
| 8枠 | 3-3-2-19 |
新潟外回りは最初のコーナーまで距離があり、外枠でも位置を調整しやすい。直線では馬場の良い場所へ持ち出しやすいことも、中外枠の好成績につながっている可能性がある。
もっとも、今年は登録11頭で少頭数になる見込み。18頭立てと11頭立てでは、外を回る距離損も内で包まれる危険も同じではない。2枠の不振は覚えておきたいが、枠だけで評価を固定するのは早い。数字は羅針盤であって、自動操縦装置ではない。
血統で浮上するモーリスとハービンジャー
新潟芝2000メートルの過去10年で、勝利数トップはハービンジャー産駒の9勝。該当するチェルヴィニアは、血統面から巻き返しを期待できる。
勝率で目立つのはモーリス産駒。24戦5勝で勝率20.8%、単勝回収率320を記録しており、該当馬はゾロアストロだ。新潟記念に限れば父産駒は1戦1勝。サンプルは小さいものの、新潟実績や脚質まで含めれば注目材料になる。
- ゾロアストロ:父モーリス。新潟芝2000メートルで高い勝率を記録。
- チェルヴィニア:父ハービンジャー。過去10年の同条件で最多9勝。
- ドゥレッツァ:父ドゥラメンテ。新潟記念で2着例あり。
- ステレンボッシュ:父エピファネイア。新潟記念で3着例あり。
- サヴォーナ:父キズナ。新潟記念で3着例あり。
一方、ロデオドライブの父サートゥルナーリアは同条件で3戦して馬券圏内なし、ダノンシーマの父キタサンブラックは8戦して馬券圏内なし。ただし、いずれも個々の馬の能力を断定できるほど大きなサンプルではない。血統は背中を押す材料にはなっても、馬をゴールまで運ぶエスカレーターではない。
前走GⅠ組と重賞組を重く見る
過去10年では前走GⅠ組が5勝。連対した20頭のうち7頭が前走でGⅠを走っていた。別定戦となり実績馬が参戦しやすくなった現在は、春のGⅠから直行する馬の重要度がさらに高まりそうだ。
今年の該当馬は、NHKマイルC1着のロデオドライブ、皐月賞12着のゾロアストロ、安田記念10着のステレンボッシュ、ヴィクトリアマイル16着のチェルヴィニア。着順には差があるものの、GⅠで経験した流れや相手関係は、GⅢへ舞台を移した際の強みになる。
その他のローテーションでは、七夕賞組が過去10年で1勝、2着2回、3着1回。小倉記念組は1勝、3着3回。目黒記念組は2着1回、エプソムC組も2着1回となっている。前走で重賞を使われた馬が中心で、条件戦やオープン競走からの一気の突破は簡単ではない。
馬体重データは当日の最後のひと押し

馬体重別では480~499キロが4勝で最多。520~539キロは勝率25%、複勝率50%と高く、540キロ以上も1頭が出走して勝利している。大型馬の好走が目立つ。
対して420~439キロは8頭すべて馬券圏外。夏開催の終盤は芝に傷みが出ることもあり、スピードだけでなくパワーを備えた馬が結果を残しやすいと考えられる。
とはいえ馬体重は当日に確定する。前走からの増減、成長分なのか余裕残しなのか、パドックでの張りや気配まで合わせたい。「520キロを超えた、はい本命」と電卓のように結論を出すのは少々せっかちだ。
予想を組み立てるための5段階チェック
- 2000メートルへの適性を見る
ロデオドライブは初距離。チェルヴィニアとステレンボッシュはマイルから中距離へ戻る。距離変更が各馬にどう働くかを整理する。 - 長く速い脚を使える馬を探す
上がり最速馬の複勝率は75%。過去の上がり順位だけでなく、直線の長いコースでの内容も確認する。 - 別定戦として実績を評価する
過去10年の多くはハンデ戦。斤量差だけで穴を探すより、GⅠや重賞で示した能力を以前より重く見る。 - 枠順と想定位置を重ねる
8枠、3枠、4枠は好成績だが、今年は少頭数。枠の数字だけでなく、直線へ向くまでに脚を温存できる並びかを考える。 - 最終追い切りと当日の状態で仕上げる
1週前に動いたゾロアストロ、復調を期すステレンボッシュ、久々のドゥレッツァなど、最終調整での変化を確認する。
現時点での注目グループ
中心候補はロデオドライブ。初の2000メートルという大きな課題はあるが、4戦すべてで最速の上がりを使った実績、左回りのGⅠを差し切った適応力、3歳馬の好走データがそろう。
データとの合致度ではゾロアストロ。3歳、55キロ、モーリス産駒、新潟での勝利、左回りでの安定感、鋭い上がりと、狙いたくなる材料が多い。休み明けと春の鼻出血からの復帰が判断点となる。
復活候補はステレンボッシュとチェルヴィニア。どちらもGⅠ馬で、中距離の左回りは持ち味を生かしやすい。ステレンボッシュはエプソムC2着、チェルヴィニアはハービンジャー産駒と半兄の実績が後押しする。
安定感ならダノンシーマ、地力ならドゥレッツァ。ダノンシーマは10戦すべて馬券圏内。ドゥレッツァは長期休養明けでも、GⅠで積み上げた実績が一段上だ。
相手候補にはアーバンシック、サヴォーナ、ジョバンニ。人気薄が一頭は馬券へ絡む近年の傾向を考えれば、上位人気だけでなく、長く脚を使える馬や騎手・血統に好走例がある馬を加えたい。
豪華メンバーが描く、夏の終わりの直線勝負
2026年の新潟記念は、別定戦2年目を象徴するような顔ぶれとなった。初距離へ挑むNHKマイルC馬ロデオドライブ、春の無念を晴らしたいゾロアストロ、復活を狙うステレンボッシュとチェルヴィニア、休養明けのドゥレッツァ、安定感抜群のダノンシーマ。11頭立てでも、論点は11個では足りないほどある。
過去10年の鍵は、2番人気、3歳馬、前走GⅠ組、中外枠、そして何より速い上がり。なかでも上がり最速馬の複勝率75%は、新潟外回りらしさを端的に表している。
ただ、2025年から別定戦へ変わったことで、従来のハンデ戦データをそのまま当てはめることはできない。豪華な実績馬の地力を尊重しつつ、成長する3歳勢と末脚型の伏兵をどう組み合わせるか。それが今年の予想の核心になる。
長い直線へ向いたとき、各馬には十分なチャンスが残されているだろう。そこから待っているのは、切れ味と持続力、そして騎手の判断が交差する数十秒。夏の新潟を締めくくるには、実にぜいたくなフィナーレである。


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