札幌記念2026展望|1番人気14連敗の夏決戦、アドマイヤテラと洋芝2000mの攻略ポイント

札幌記念2026展望|1番人気14連敗の夏決戦、アドマイヤテラと洋芝2000mの攻略ポイント
札幌競馬場の洋芝で激しく先頭を争う競走馬たち
実績馬が集う一方、人気順どおりには決まりにくい夏の大一番。

夏競馬の真ん中で、ひときわ秋の気配をまとっているのが札幌記念です。2026年は8月16日、札幌競馬場の芝2000メートルで行われる第62回GII。3歳以上の定量戦で、サマー2000シリーズの一戦でもあります。

歴史と実績馬が交差する舞台だけに、毎年のように豪華な顔ぶれが話題になります。しかし予想する側にとっては、名前の豪華さだけで印を並べるわけにはいきません。何しろ札幌記念では、1番人気が目下14連敗中。人気馬がまったく走らないわけではないのに、なぜか先頭でゴールするところだけが遠いのです。勝利の扉に「押す」と書いてあるのに、ずっと引いているような話です。

その一方で、極端な大波乱ばかりでもありません。2番人気や3番人気、さらに5番人気あたりまでが勝利候補として機能しており、狙いの中心は上位人気の比較にあります。2026年は凱旋門賞を見据えるアドマイヤテラの参戦も大きな焦点。実績、状態、距離、洋芝適性、そして先の目標まで、札幌記念らしい検討材料がずらりと並びました。

札幌記念とはどんなレースなのか

札幌記念は札幌競馬場で行われる重賞で、現行の重賞競走としては1965年に創設されました。札幌競馬場の重賞では最も長い歴史を持ちます。現在の芝競走という印象が強いものの、創設当初は砂2000メートル。1969年から1974年までは左回りのダート、1975年から1989年までは右回りのダートで実施され、1990年から右回りの芝へ移りました。

負担重量も時代とともに変化しています。長くハンデキャップで行われた後、1997年に別定へ変更。同じ年にGIIIからGIIへ格上げされました。2006年からは実力馬の出走を促すため定量戦となり、サマー2000シリーズにも組み込まれています。2009年には国際競走となり、外国馬も出走できるようになりました。

開催時期、定量という条件、賞金水準などから、札幌記念はGIIの枠を超えるような注目を集めてきました。過去のGI馬だけでなく、後にGIを制する馬も参戦し、秋の大舞台へ向かう中継点として存在感を発揮してきたレースです。通常はGIが行われない競馬場で開催される唯一のGIIでもあり、北海道の競馬ファンにとっては一流馬を間近で見られる貴重な機会になっています。

ダート時代にも確かな存在感

現在の札幌記念からは洋芝のイメージが先に立ちますが、1989年まではダートで行われていました。当時は中央競馬のダート重賞そのものが少なく、有力馬が集まる貴重な競走でした。芝へ舞台を移してから役割は変わりましたが、夏の札幌で実績馬がぶつかるという存在感は、時代をまたいで受け継がれています。

2026年はGII最高額の1着賞金

2026年の賞金は1着7000万円、2着2800万円、3着1800万円、4着1100万円、5着700万円。1着7000万円は中央競馬のGIIで最高額です。さらに優勝馬には、バーレーンインターナショナルトロフィーへの優先出走権が与えられます。夏の一戦でありながら、その先には秋の国内戦線だけでなく海外への道も伸びています。競馬の進路標識としては、なかなか国際的です。

札幌芝2000メートルで問われるもの

札幌の洋芝コーナーで内外から進出する競走馬の集団
コーナー4回の洋芝では、位置取りと長く脚を使う力が問われる。

札幌の芝2000メートルは右回りで、コーナーを4回通過します。直線の長さだけで何とかするというより、道中の位置取り、コーナーでの立ち回り、早めに動く判断、最後まで脚を保つ体力が総合的に問われる舞台です。

洋芝は時計がかかりやすく、軽い芝での瞬間的なスピード比べとは違う決着になりやすいのが特徴。馬場状態や展開によって程度は変わるものの、持続力やパワーを重視したい条件です。札幌芝2000メートルの経験も無視できません。コースを知っていることは、観光地で地図を持っているくらい心強いもの。もっとも、馬は時計台を見に行くわけではありません。

過去10年では内寄りの枠が目立っています。1枠は最多の4勝を挙げ、2枠も5年連続で連対した実績があります。さらに、1枠または2枠の馬が単勝3番人気以内に支持された場合は、成績が4勝、2着2回、着外1回で、連対率85.7%でした。

これは内枠なら何でもよいという意味ではありません。力を評価された馬が内枠に入り、距離損を抑えて運べる場合に信頼度が高まる、という読み方が自然です。枠順が決まった後は、人気だけでなく、各馬がどこから最初のコーナーへ向かうのかを確認したいところです。

変革期を迎える夏の中距離路線

札幌記念は長く、GI馬の始動戦として選ばれてきました。比較的調整しやすい札幌の気候に加え、定量GIIという条件が実績馬を呼び込んできたからです。しかし近年、秋へ向かうローテーションには変化が生まれています。

新潟記念がハンデ戦から別定戦へ変わったことで、陣営には別の選択肢ができました。札幌の2000メートルはコーナーを4回通るのに対し、新潟はワンターン。秋の中距離GIが行われる東京と同じ左回りでもあり、新潟記念を使ってから本番まで一定の間隔を取る組み立ても考えやすくなっています。

もちろん、夏の暑さや馬ごとの適性があるため、全馬に同じ答えが当てはまるわけではありません。それでも条件変更が出走戦略へ及ぼす影響は小さくなく、札幌記念の顔ぶれや役割は少しずつ変わっていく可能性があります。かつての定番ルートが一本道ではなくなり、競走馬のカーナビにも新しい候補が表示された、といったところでしょう。

だからこそ2026年の予想では、「例年の札幌記念なら実績馬を中心に」という固定観念だけに頼らず、各陣営がなぜ札幌を選び、どの目標へ向かおうとしているのかを考える必要があります。

1番人気が14連敗、それでも人気薄一辺倒ではない

ゴール直前で本命馬を外から差し切ろうとする競走馬
1番人気は馬券圏内に残りながら、勝ち切れない年が続く。

札幌記念を展望するうえで、もっとも目を引く数字が1番人気の連敗です。過去10年の1番人気は0勝、2着3回、3着3回、着外4回。複勝率は60.0%ですが、最後の勝利は2011年のトーセンジョーダンで、そこから14連敗しています。

馬券圏内には6頭が入っているため、1番人気が毎回崩れているわけではありません。問題は「勝ち切れていない」ことです。軸としては一定の働きをしても、単勝の主役としては長い足踏みが続いています。複勝率60%と14連敗が同居するあたり、札幌記念の数字は少々いたずら好きです。

背景として考えたいのが、実績馬にとって札幌記念が秋への始動戦になりやすい点です。大目標が先にある馬は、休み明けで出走することも多く、この段階から限界まで仕上げるとは限りません。能力の高さで上位へ来ても、札幌記念を最大目標としている馬に最後のひと押しで及ばないケースはあり得ます。

ただし、「1番人気が勝てないなら大穴を買えばよい」と一直線に走るのも早計です。過去10年の上位人気別成績を整理すると、勝ち馬は比較的人気上位から出ています。

過去10年の主な人気別成績
人気成績勝率複勝率
1番人気0-3-3-40%60.0%
2番人気4-2-0-440.0%60.0%
3番人気2-1-0-720.0%30.0%
5番人気2-0-1-720.0%30.0%

2番人気は4勝を挙げ、勝率40.0%。3番人気と5番人気もそれぞれ2勝しています。5番人気より下になると数字は低下するため、基本像は「上位人気が全滅するレース」ではなく、「上位人気の序列が入れ替わりやすいレース」です。

過去10年の3着以内馬30頭のうち15頭は単勝3番人気以内でした。また、上位人気3頭がそろって4着以下に敗れた年はありません。人気馬を全部消して宝探しへ出かけるより、人気上位の中から勝ち切れる馬を見極め、相手に中位人気を組み込む方がデータには沿っています。

一方で、人気薄が入り込む余地まで消えるわけではありません。実際に大きな配当が生まれた年もあります。上位人気を土台にしつつ、馬場や展開が味方しそうな伏兵を拾う。この少し欲張りな姿勢が、札幌記念ではむしろ現実的です。

年齢別では5歳馬の安定感が光る

年齢別成績では、5歳馬の安定感が目立ちます。3歳馬は出走数こそ多くありませんが、複勝率42.9%と優秀。古馬では5歳馬が勝利数、連対数、複勝率のいずれでも存在感を示しています。

過去10年の年齢別成績
年齢成績勝率複勝率
3歳1-1-1-414.3%42.9%
4歳3-0-2-298.8%14.7%
5歳4-7-4-2410.3%38.5%
6歳2-1-1-305.9%11.8%

5歳馬は4勝、2着7回、3着4回で、3着以内馬30頭のうち15頭を占めます。複勝率38.5%も古馬の中では抜けた数字です。4歳馬の方が若く、スピード面で有利に見えるかもしれませんが、札幌の洋芝2000メートルでは単純な若さ比べになりません。

時計が出にくい洋芝で持続力や体力が問われれば、完成度を高めた5歳馬にも十分な出番があります。6歳馬も2勝しており、年齢を重ねたことだけを理由に軽視するのは危険です。人間の健康診断なら年齢欄を見て少し身構えますが、競馬ではコース適性と状態の方を先に見たいところです。

3歳馬は出走してくれば要注意。古馬との斤量差や世代内での実績を個別に確認する必要はあるものの、複勝率42.9%は見逃せません。出走頭数が少ないため数字を過信するべきではありませんが、若さだけを理由に経験不足と決めつけるのも禁物です。

好走馬の前走に見える格の高さ

札幌記念では、前走で格の高いレースを経験していた馬が強さを見せています。過去10年の3着以内馬30頭のうち22頭は、前走が国内外のGIでした。残る8頭も前走は重賞で、格のある舞台から臨む馬が上位の中心です。

ただし、前走の着順はそのまま評価しない方がよさそうです。前走が国内GIだった馬のうち、前走5着以内から札幌記念へ臨んだ馬は0勝、2着0回、3着0回、着外14回。一見すると不思議ですが、GIで好走した事実だけで自動的に札幌でも買い、とはならないことを示しています。

GIと札幌記念では、相手関係だけでなくコース、芝質、展開、仕上げの目的が違います。前走着順の見栄えより、今回の条件に合うか、休養を挟んで状態がどう整っているかを重視したいところです。「前走で強かったから今回も強い」は分かりやすい理屈ですが、分かりやすすぎる理屈にはオッズもすぐ集合します。

  • 前走の格:GIまたは重賞を使ってきた馬が好走の中心
  • 前走着順:GIでの上位着順だけを根拠にしない
  • 今回の適性:洋芝、右回り、2000メートルへの対応を確認
  • 出走目的:ここが目標か、秋へ向けた始動戦かを考える

アドマイヤテラは凱旋門賞への始動戦

札幌の洋芝を駆けながら海外の大舞台を見据える競走馬
札幌の2000メートルは、秋の海外大舞台へ向かう最初の試金石となる。

2026年の中心的な話題は、アドマイヤテラです。5歳牡馬で、10月4日にパリロンシャン競馬場の芝2400メートルで行われる凱旋門賞を見据え、札幌記念から始動します。5歳馬が好成績を残しているという年齢面は心強い材料ですが、重要な確認事項もあります。

最大の焦点は2000メートルへの対応です。アドマイヤテラにとって、この距離は2年5か月ぶり。友道康夫調教師は、本来はもう少し距離があった方がよく、広いコース形態の方が合うとの見方を示す一方、洋芝については好意的に捉えています。

つまり、札幌記念の条件がすべて理想というわけではありません。2400メートルの凱旋門賞を目指す馬が、コーナー4つの札幌2000メートルでどのように流れへ対応するのか。能力の高さだけで押し切れるか、道中で無理なく好位置を取れるかが見どころになります。

新コンビの坂井瑠星騎手が得た感触

今回は坂井瑠星騎手との新コンビです。1週前には坂井騎手が函館へ赴いて初めて騎乗し、イメージ通りで乗りやすい馬だったという感触を得ています。初コンタクトで扱いやすさを確認できたのは、実戦へ向けた前向きな材料です。

友道調教師も、牧場でしっかり乗り込まれ、いつ見ても体が締まっていたとして、休養期間を良好に過ごせたことを評価しています。海外遠征を控える立場だけに、本番は先。それでも復帰戦へ向けた調整は順調に進んでいます。

予想では状態のよさを認めながらも、「有力馬だから無条件に1着固定」と急がない方がよいでしょう。札幌記念の1番人気が勝ち切れていない傾向、久々の2000メートル、より長い距離と広いコースを好む可能性、凱旋門賞への始動戦という位置づけ。この複数の要素を重ねて判断する必要があります。

反対に、洋芝への期待、5歳馬の好成績、整った体、新しい鞍上との良好な感触は評価できます。勝ち切れるかを慎重に考えることと、馬券圏内の有力候補として見ることは別の話です。札幌記念の1番人気データも、まさにその区別を促しています。

2026年の登録馬と検討の方向

登録馬にはアドマイヤテラをはじめ、アラタ、イガッチ、エコロヴァルツ、オニャンコポン、ゼンダンハヤブサなどが名を連ねています。登録段階では出走の確定や最終的な枠順とは別なので、予想を固めるのは出馬表と枠順が決まってからです。

注目馬を選ぶ際は、知名度だけで横一列に並べず、札幌記念に合う要素を順番に確認すると整理しやすくなります。

  1. 洋芝で持続力を発揮できるか
    速い上がりだけでなく、長く脚を使えるかを確認します。
  2. 右回りの2000メートルに対応できるか
    コーナー4回の立ち回りや過去の距離実績が手掛かりになります。
  3. 近走で重賞級の相手と戦っているか
    好走馬の多くが前走重賞組である点は重視できます。
  4. 夏の状態が整っているか
    休み明けなら調整過程、継続参戦なら疲労の有無を見ます。
  5. 今回の競走にどの程度重点を置いているか
    秋への始動戦か、夏の目標かによって仕上げの意味が変わります。
  6. 枠順と人気の組み合わせ
    内枠に上位人気馬が入った場合は、過去の高い連対率が参考になります。

馬券は「1番人気を消す」より役割を分けて考える

札幌記念の予想で陥りやすいのは、1番人気14連敗という数字を見て、1番人気を丸ごと不要と判断することです。しかし過去10年の複勝率は60.0%。勝ってはいなくても、2着または3着には計6回来ています。

そこで考えたいのが、馬券の種類ごとに評価を分ける方法です。単勝や1着固定では慎重に扱い、連系馬券の軸や相手では残す。これなら「勝てていない」と「馬券圏内には来ている」の両方を反映できます。数字同士をけんかさせず、それぞれの席に座ってもらう考え方です。

勝ち馬候補は2番人気、3番人気、5番人気まで広げる価値があります。特に2番人気は過去10年で4勝しており、1番人気との評価差が小さい年ほど注目したい存在です。最終オッズで人気順が入れ替わることもあるため、前日の印象だけで決めず、発走までの支持を確認したいところです。

伏兵を選ぶ場合も、単に人気がない馬を並べるのではなく、洋芝適性、内枠、重賞経験、展開上の利点など、札幌記念で生きる根拠を持たせることが大切です。穴馬は暗い場所にいる馬ではなく、評価されていない強みを持つ馬。懐中電灯ではなく出馬表で探しましょう。

最終予想までに確認したいポイント

札幌記念は、登録馬の名前だけで結論を出しにくいレースです。枠順、馬場、当日の気配、人気の並びによって評価は変わります。最終判断では、次の項目を一つずつ確認したいところです。

  • 1番人気を1着候補にするだけの条件がそろっているか
  • 2番人気以下に、今回を強く意識した仕上げの馬がいないか
  • 5歳馬や出走してきた3歳馬を年齢データから見直したか
  • 内枠の上位人気馬が無理なく位置を取れそうか
  • 前走GIの着順ではなく、今回の条件適性を評価したか
  • 洋芝で時計がかかった場合にも最後まで脚を使えるか
  • 登録段階の情報と確定した出馬表を混同していないか

特にアドマイヤテラについては、直前の状態と枠順が重要です。久々の2000メートルだけに、外枠から位置を取りに行く形と、内寄りでロスなく運べる形では負担が変わります。凱旋門賞へ向けた第一歩としてどのような競馬を選ぶのか、坂井騎手の判断にも注目です。

歴史ある一戦は、いま新しい役割へ

札幌記念は、砂やダートで行われた時代から芝の定量GIIへと姿を変え、夏競馬を代表する一戦になりました。GI馬の始動戦、サマー2000シリーズの重要戦、そして北海道で一流馬を見られる機会という複数の顔を持っています。

その一方、新潟記念の条件変更によって秋へ向かう選択肢が増え、札幌記念は変革期に入りつつあります。今後も毎年同じ役割を担うとは限りません。だからこそ、過去の格だけでなく、その年に集まった馬と各陣営の目的を丁寧に見ることが重要になります。

2026年は、凱旋門賞へ向かうアドマイヤテラがどのような復帰戦を見せるのかが大きな見どころです。洋芝への期待と距離への課題、良好な調整過程と先にある大目標。買い材料と慎重材料が同じテーブルに着いており、予想する側としては腕の見せどころでしょう。

1番人気の連敗が止まるのか、それとも2番人気以下が今年も先にゴールするのか。内枠の上位人気馬がデータ通りに走るのか、5歳馬が再び存在感を示すのか。札幌記念は「有名な馬を眺めて終わり」ではなく、人気、適性、状態、目標を立体的に読むレースです。

北の大地で行われる芝2000メートル。華やかな顔ぶれの奥にある小さな条件差を拾えたとき、予想はぐっと面白くなります。馬たちの秋へ続く一歩を見守りながら、こちらも慌てず、しかし締切には遅れずに答えを出したいところです。